愛知県愛西市の小さな酒蔵・水谷酒造を舞台に、若き女性蔵人の成長を描いたドキュメンタリー映画『かもすひと』。その続編となる『かもすひと ふたたび』の制作を支えるクラウドファンディング第1期が、CAMPFIRE上でスタートしています。
2024年の火災で酒蔵と住居が全焼するという深刻な被害から、「酒造りをもう一度」という蔵人たちの歩みを、酒づくりの再開と新酒の完成まで長期にわたって記録しようという試みです。日本酒ファンはもちろん、日本の伝統産業や「仕事」に向き合う人の姿に関心を持つ方に向けたプロジェクトとなっています。
水谷酒造『千瓢』と『千実』と共に撮影中の一コマ。
ドキュメンタリー『かもすひと ふたたび』とは
『かもすひと ふたたび』は、前作『かもすひと』の続編として制作されているドキュメンタリー映画です。
前作では、幕末期創業の老舗・水谷酒造に入社した若き女性蔵人・後藤実和さんの挑戦と、小さな酒蔵の日々の営みを3年にわたり取材。後継者不在の酒蔵に飛び込み、社長の水谷政夫さんと二人三脚で酒造りを学び、「千瓢」と自身の名の一字を掛け合わせた新商品「千実(ちさね)」の開発に挑む姿が描かれました。
水谷酒造の酒『千瓢』と『千実』。多くのファンに愛されてきました。
続編となる本作の取材範囲は、「火災による全焼被害から再建された酒蔵で造られた最初の新酒が完成し、そのお酒でみんなが乾杯できるまで」。
一度すべてを失った蔵がどのように立ち上がり、周囲の支えとともに再び酒を醸していくのか。その時間の積み重ねを、丁寧に追いかけていく作品です。
仕込みの様子。手作業の積み重ねが一本の酒を生み出します。
前作『かもすひと』と、火災からの「ゼロからの再出発」
舞台となる水谷酒造は、愛知県愛西市にある小規模な酒蔵です。
豊臣秀吉の馬印である千成瓢箪に由来する銘柄「千瓢(せんぴょう)」を中心に、地元に根ざした酒造りを続けてきました。生産量こそ大規模ではないものの、地元の酒販店や飲食店、日本酒ファンから支持される酒質を守り続けてきた蔵です。
名城大学で微生物を学び、日本酒研究会で利き酒大会にも出場してきた後藤実和さんが、その蔵に就職したのは2021年。
「酒造りの現場で働きたい」という思いで入社し、後継者候補として酒造りの全工程を学びながら、新商品「千実」を自ら企画・開発するなど、蔵の未来を担う存在として歩み始めていました。
ここまでの歩みを記録したのが前作『かもすひと』で、作品は現在YouTubeで公開されています。
前作は、クラウドファンディングで得た支援により完成。多くの支援者の後押しを受けて世に出た作品です。
『かもすひと』本編は、以下から視聴できます。
前作『かもすひと』(YouTube)
しかし、その後の2024年5月9日。瓶詰めした日本酒の「火入れ」作業中に機材から出火し、瞬く間に火が蔵全体に燃え広がりました。懸命の初期消火も間に合わず、酒蔵と隣接する住宅は全焼。報道各社のヘリが上空を飛び交い、テレビでも報じられるほどの大きな火災となりました。
人的被害こそなかったものの、伝統ある蔵と醸造設備はほぼすべてが失われました。水谷社長の頭に一時「廃業」の二文字がよぎるほどの事態だったといいます。
それでも、蔵の復活を願う日本酒ファン、取引先、原料米の生産者など、多くの声が水谷酒造の周囲に集まりました。その中心にいたのが、酒造りを次代へつなぐために蔵に入った後藤さんの存在です。
同業の酒蔵の協力を得ながら、後藤さんは「共同醸造」という形で他社に出向し、「千瓢」「千実」のブランドを途切れさせないための酒造りを続けています。一方、水谷社長は他社での仕事をこなしながら、再建計画や資金繰りなどに奔走。
『かもすひと ふたたび』では、この「失われた蔵から、もう一度酒を醸す」までの数年にわたる再起のプロセスが撮影されています。
撮影中の一コマ
制作を担う「シネマフロント」と、作品が目指すもの
本作の制作を手がけるのは、名古屋を拠点に活動する自主映画団体・シネマフロント。代表の児玉篤史さんは、前作『かもすひと』に続き、今回も監督として取材を続けています。
児玉さんが特に重視しているのは、「火災によってすべてを失った蔵人たちの、復活にかける情熱に伴走する」という姿勢です。
ニュース映像のように出来事だけを追うのではなく、そこに関わる人の感情や選択、葛藤や迷いも含めた「時間の積み重ね」を描くことを目指しています。
酒造りを扱ったドキュメンタリーはいくつか存在しますが、「全焼した酒蔵の復活」という切り口で、長期にわたって再建の過程を記録する事例は多くありません。
日本酒や伝統産業に関心のある方にとってはもちろん、「仕事を続けること」「あきらめないこと」がどういう意味を持つのかを、リアルな現場から考える作品になろうとしています。
クラウドファンディングの内容と参加方法
今回のクラウドファンディングは、『かもすひと ふたたび』制作の「第1期」として位置づけられています。
集まった資金は、撮影に充当されます。
水谷酒造の再建には時間がかかるため、撮影も数年単位の長期にわたります。一方で、制作スタッフは少人数体制で動いており、取材継続には一定のコストが必要です。
今回のクラウドファンディングは、その長期取材を途切れさせないための「継続的な支え」として位置づけられています。
支援はCAMPFIRE上のプロジェクトページから行うことができます。支援額に応じて、前作の視聴リンクの提供や活動報告、中間報告会への参加権、完成披露関連の企画、限定特典などのリターンが用意される予定です。
詳細や最新情報は、CAMPFIREのプロジェクトページをご確認ください。
『かもすひと ふたたび』制作支援クラウドファンディング(CAMPFIRE)
スケジュールとリターンの一例
取材自体はすでに開始されており、今後も継続的に撮影・編集が行われます。第1期クラウドファンディングに関連する主なスケジュール(予定)は以下の通りです。
- 2026年1月
- お礼メッセージ送付
- 前作『かもすひと』のダウンロードリンク送付
- 2026年2月
- 各種リターン発送
- ※日本酒に関するリターンは、酒蔵の在庫管理の都合上、2025年中の発送を予定
- 2026年春
- 第1期中間報告動画のダウンロードリンク送付
- 名古屋市内での中間報告会開催
活動報告はCAMPFIRE上でも随時行われる予定です。制作の進行状況や水谷酒造の再建の様子を、支援者と共有しながら進めていく計画です。
まとめ―日本酒の「未来」をいっしょに見届ける
火災で酒蔵と住居を失いながらも、「もう一度この地で、日本酒を醸したい」と立ち上がった水谷酒造の人びと。
その再建の歩みに、カメラを通して伴走しようとしているのが『かもすひと ふたたび』です。
日本酒づくりという伝統的な仕事の「面白さ」や「厳しさ」、そして予期せぬ災害から立ち上がる「力強さ」を、時間をかけて記録する本プロジェクトは、単なる酒蔵の紹介にとどまらず、「仕事を続ける」とは何かを考えるきっかけにもなり得ます。
前作『かもすひと』は、クラウドファンディングでの支援があったからこそ完成しました。
続編となる『かもすひと ふたたび』もまた、多くの人の共感と後押しがあって初めて形になる作品です。
日本酒や日本の伝統文化に関心のある方、仕事に向き合う人の姿を見届けたい方は、ぜひプロジェクトページをご覧いただき、無理のない範囲で制作の後押しをご検討ください。
詳細や最新情報は、CAMPFIREの『かもすひと ふたたび』制作支援プロジェクトページをご覧ください。
あわせて、前作『かもすひと』本編はこちらから視聴できます。




